私は、「心あるもの」は全て芸術だと思います。それが形であったり、 技術であったり、活動であったり、音楽や文章、言葉など、 いろんな表現方法があります。たまに壊れる様や、妬みなどを表現して 「これは芸術だ!」という方もいらっしゃいますが、 それは私の中で「芸術」とはいいません。なぜなら人を破壊するもの、 不愉快にするものは芸術とは思われないからです。

ずっと以前の話になりますが、バルセロナオリンピックのあった年、 TVに映る「カサ・ミラ・サグラダファミリア教会」に魅了され、 スペインへ行きました。そして数々のガウディ建築と出会い、 その偉大さに感動したことを覚えています。 中でもグエル公園の美しいタイルへ腰をおろしたとき、 実世界に存在する欲望などといったものから開放され、時という 存在すら無い「無の世界」のような不思議な感覚に引き込まれました。 そこから見上げた空や、鳥の唄声、老夫婦がたたずむ姿など、 全てが調和している中で、芸術とは人の心を癒してくれるものなのだ、と、 思いました。そしてこの世界には、美しいものがたくさんあるのだという ことに気が付きました。

芸術は人の心を癒す力、そして感動を与えてくれるものだと思います。 一人一人が「誰かのために」と思うことを行動し始めると、 一つのハートは小さくても、そのハートが増えることによって私達の町は もちろん、社会も美しく楽しく変っていくと信じています。 「心あるものを形にすること」それが私の仕事だと思います。

そのだ正治

「心あるものを形にすること」をテーマに街やハートの形を用いて鉄板を切り抜き手作業でオブジェやモニュメントなどを造形する。芸術は人の心を癒すとともに感動を与えるものとし、人や街と共存するパブリックアートも数多く手掛ける。